西下航平作曲
益楽男グリークラブが委嘱初演
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男声合唱とピアノのための組曲
「天球の調和」 /西下航平作曲

平成28年3月21日(月・祝)に行われる益楽男グリークラブ第2回演奏会にて初演予定
益楽男グリークラブ第2回演奏会 さいたま市文化センター小ホール
13:30開場/14:00開演
入場料800円・全席自由
詳細は、演奏会特設ページにて! ▼
益楽男グリークラブ第2回演奏会特設ページ
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西下航平作曲 「天球の調和」を考える 〜演奏会特集〜

男声合唱とピアノのための組曲「天球の調和」

男声合唱とピアノのための組曲「天球の調和」は西下航平氏作曲の全4曲からなる組曲である。 平成28年3月に全曲が完成し、同年3月21日に行われる益楽男グリークラブ第2回演奏会にて初演された。 この組曲には、日本の思想家・詩人のテキストが採用されている。平成26年8月、益楽男グリークラブのメンバーにより詩の選定がなされ、西下氏に作曲を委嘱した。



▲平成28年3月21日益楽男グリークラブ第二回演奏会にて初演

T.人生の踊

テキストには、九鬼周造の「人生の踊」と九鬼の晩年の作である「運命」という詩の一部を採用している。この2つの詩は、とてもよく似ており、「運命」は九鬼が晩年に「人生の踊」を書き直したものと思われる。
踊るように軽やかなピアノに、歌が生吹きのように颯爽と駆け抜ける。


U.絶望の逃走

テキストには、萩原朔太郎の「絶望の逃走」を採用している。 当初は、日本の哲学者の詩を集めた組曲を第1の案に考えており、西田幾多郎の短歌を集めた曲「星の夜」(西下氏作曲)をリメイクした曲が入る予定であった。萩原朔太郎の詩は第2案にあったものである。 作曲者自ら、この詩を加えて作曲したいと変更となった。
冒頭は衝撃的なピアノから始まり、荒々しい歌は逃走する人間の様を描いていく。


V.個性について

テキストは、三木清の「個性について」という論文から抜粋し採用している。
絶望の逃走の衝動から一転、テキストをなぞるような旋律で歌い進められていく。それは意外なほどドラマティックである。自らを神によって決められた世界の無限の関係に置いたとき、それでは私の「個性」とはなんだろうか。「自由」とはなんだろうか。
宿命から逃走し気づく、無限の宇宙、そして――!(ネタバレになるので自粛)


W.ゲーテの歌

テキストには、西田幾多郎が九鬼周造の墓碑に記した「ゲーテの歌」を採用している。その詩は、ドイツの詩人ゲーテの詩”Wanderers Nachtlied(旅人の夜の歌)”を訳したものである。ドイツ語部分ではゲーテの詩の原文も用いた。 この組曲の中で最初に楽譜ができた曲であり、第1稿では一曲目であったが、「絶望の逃走」が加わると同時に終曲に変更された。
まさに、終曲に相応しい、目の前に広がる自然とそこに静まりゆく命を歌う。


益楽男グリークラブと「天球の調和」

私たちが今考え得る最高の詩に、西下氏によって想像もつかない音楽が作曲されてしまった!
1曲ずつ完成してくる曲を受け取るたびに激しく心が揺さぶられた。なんという詩を選んでしまったのだという畏れすらある。 作曲においては、大変な苦労があったことと想像する。特に3曲目の「個性について」は、長い論文の中から作曲者自ら歌に合うテキストを選んでいただくという、大変なお願いをした。しかしながら、西下氏によって選び抜かれた歌詞と彼の音楽によって、「個性について」はより洗練されダイレクトに心に響く作品になっているのではないだろうか。
ピアノのための〜と題にあるように、常に歌を導くように展開していくピアノの旋律にも注目したい。
(文責・でんで)



「天球の調和」研究会

1.全てが静止した時間の中で〜墓石刻まれた「ゲーテの歌」〜

研究員:史吟


2.西田幾多郎年譜

研究員:さかわの
西田幾多郎の生涯と彼の生きるための哲学


3.「天球の調和」について (準備中)

研究員:KIN


【番外編】「アカシエ」のケーキで益楽男4周年のお祝い!

研究員:でんで
パティスリー・アカシエに「天球の調和」をテーマにしたケーキを作ってもらった話


益楽男グリークラブの益々楽しいラジオ by Webラジオ班

第6回 委嘱初演・作曲者に迫る! 


2016.3.19公開
★ 内容
・ゲスト紹介:「西下航平さん」
・作曲者が語る「天球の調和」誕生秘話
・なんと、1曲ずつ語っていただいてます!
・パーソナリティーのもがさんは初演指揮者です(再認識)




演奏会曲そのほか

4.きりしたんの世界観〜変化する宗教〜

研究員:史吟


5.男声合唱のための「どちりなきりしたん」詞と解説への注釈

研究員:KIN
千原英喜自身の「どちりなきりしたん」解説に注釈を加えながら、歌詞の理解を深める。

▼過去の「どちりな研究会」のページ


6.シェンカー分析流の思考を簡易適用した「宇宙線驟雨のなかで」解析(準備中)

研究員:KIN
楽曲を主調の主和音へと究極的に還元して理解していくという点をシェンカー理論の肝であると捉えた上で、その発想を合唱曲の和声展開を構造的に捉えることを目的とした分析に流用していく


7.Paul Hindemith「Der Tod」単語の意味とアクセント・訳

研究員:ナゾノクサ


8.「Der Tod」遂語訳と発音/作詩者・作曲者について

研究員:ハマノ大魔神



【連載】益楽男グリークラブ第2回演奏会に向けて…

アンサンブルトレーナーのもがさんが演奏会までの5週間、毎週月曜日に投稿すると宣言!
他の方の寄稿もお待ちしております(^o^)/


KINさんの研究コラム「天体の音楽」

「天球の調和」に関連するKINさんの研究コラムです

by 演奏会曲研究会 2016/03/16 




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